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いばりんぼヘラジカの勇気のおはなし / 「自信」と「価値」ってなんだろ?

公開日: : 哲学・小説

すこし長めのおはなしです。

読み易く書くことを意識しました。

いばりんぼヘラジカの、勇気のおはなしです。

 

はじまりはじまり

ブラスカは群れでいちばん立派なツノをもっている

「ぼくがいちばん強いし、えらい」

ブラスカは群れでいちばんいばりんぼ

 

 

「ブラスカは強いなぁ!」

「ブラスカはカッコイイなぁ!」

そう言われる度にブラスカは「ぼくは素晴らしい」と思った

 

「わたし、ブラスカがすきだよ」

と、群れでいちばん貧相なメスのタイニーが言ったけど

「ぼくはあんまりキミがすきじゃないな」とブラスカは鼻でわらった

 

 

あるとき、群れを大きなヒグマが襲った

ブラスカは勇敢にたたかって追い返したけど

ブラスカのツノが折れてしまった

 

「ブラスカは弱くなった」

「ツノなしなんてカッコわるい」

そう言われるようになって、ブラスカは「ぼくは価値がなくなった」と思った

 

ぼくは何にもできなくなった

本当はダメなやつだったんだ

みんなぼくが嫌いだったんだ

 

 

 

いつも群れの先頭でいばっていたブラスカは

今はいちばん後ろで小さくなっていた

そんなとき、またヒグマが襲ってきた

 

「大変だ!こどもがはぐれたぞ!」

「洞窟に逃げ込んだみたいだ!」

ヒグマがいなくなっても、こどもは出てこない

 

「なかで困っているにちがいない」

「オスじゃなきゃたすけられない」

「でもツノが邪魔で入れない」

 

みんなは、いちばん後ろにいたブラスカを見た

でもブラスカは前に出られなかった

すっかり自信をなくしてしまっていたから

 

「わたし、ブラスカがすきだよ」

と、またタイニーが言った

「ぼくなんかじゃムリだ」ブラスカは勇気を出せなかった

 

一晩たって、おなかがすいたこどもはなんとか自分で出てきた

「ブラスカは勇気がない」

「ブラスカは群れにいらない」

 

居場所がなくなってしまったブラスカは、群れを離れた

タイニーだけがブラスカについてきた

 

 

 

「どうしてぼくなんかについてくるの」

「わたし、ブラスカがすきだよ」

「だって僕はツノなしだ」

「ブラスカは勇敢だよ」

「ホントは勇敢なんかじゃなかった」

「ブラスカは勇敢だよ。わたしをたすけてくれた」

「それはツノがあったからさ。もうない」

「ブラスカは勇敢だよ。今はちょっと自信がないだけ」

「ツノがないぼくなんてダメだ」

「ツノなんてなくても、ブラスカだよ」

「ぼくはブラスカだ。ダメなやつだ」

 

群れから離れたブラスカたちをヒグマは見逃さなかった

タイニーめがけてヒグマが襲いかかる

ブラスカは怖くて怖くてうごけない

 

ぼくなんかじゃダメだ。勝てっこない

でも、いまここにいるのは、僕だけだ

他のだれでもない、僕にしかできないんだ

 

タイニーは小さいがすばしこい。しばらくは逃げられる

ツノのないぼくには勝ち目がない。それなら。

ブラスカはいちもくさんに走った。群れのもとへ!

 

「たすけてくれ!タイニーがあぶないんだ!」

「なんだって!?おまえはそれで逃げてきたのか!」

「ヒグマだ!ぼくでは勝てない!だからたすけてくれ!」

 

タイニーはいっしょうけんめい逃げていたが、もう限界だった

「でも、ブラスカがきっとたすけてくれる」

タイニーは信じていた。だから、あと少しがんばれた

 

「タイニー!たすけにきたぞ!!」

 

全力で走ってくる大勢のヘラジカの群れに

さすがのヒグマも逃げ出した

タイニーはたすかったのだ

 

「ブラスカは勇敢だよ」

「うん」

「ブラスカはブラスカだよ。ツノがなくたって」

「うん」

「わたし、ブラスカがすきだよ」

 

「ぼくも、少しだけ、ぼくを好きになった。少しだけね」

 

「折れる自信」と「折れない自信」

野暮かとは思いますが、こういう話始めちゃいます。

自信って、折れる自信と折れない自信があります。

折れる自信に頼っているといつか折れる。

 

折れる自信

ヒトが自信の根拠にするのって

「●●ができる」とか

「賞賛された」とかです。

 

裏を返せばそれは

できなくなったらなくなる

賞賛されなくなったら終わり、の自信です。

 

がんばれスパイラル

だからヒトは「がんばらなきゃ」って思います。

その後に続くのは「ほめてもらえない」です。

なくなるかも知れないモノに頼った自信を維持するのって、キツイ。

 

そしてそういう種類の自信を失うと

「自分は価値がない」っていう思考になる

 

「ヒトの価値」ってなんだろう?

自分は価値がない、という思考になったヒトの「価値」って

●●ができること、賞賛されること、です。

 

あることができる、ということに自信の根拠を持ちすぎると

もうそれが唯一絶対の価値のように考えてしまう

そしてそれを失えば「全くの無価値」と考えてしまう

 

価値は価値観による

●●ができることだけが価値じゃないし

他人の賞賛なんて、たまたまそのヒトの価値観に合ったというだけ。

 

折れない自信

いいもわるいも、価値観次第。

ならまず「何にもない自分」をOKとしてみる

 

前提で行動が変わる

自分がOKじゃなかったブラスカは

やれたはずのことをやらなかった

 

でもOKで考えたとき

具体的に行動が変わった

 

実績や成果に依存しない

「何もない自分」をOKとする自信。

これは思ってる限りなくならない。

 

それで行動が変化するなら得しかない。

 

おわりに

でも自信がないのもOKだよ!

ネットで活動中の作編曲家。

ヨーロッパの著名な舞台でのクラシック演奏経験を活かし、他とは違う個性の提供が好評を博している。

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